ふくい宇宙博、金井宣茂さんが子どもたちと笑顔の交流

ミッション報告会で、子どもたちの質問に笑顔で答える金井宣茂宇宙飛行士(中央)=12月9日、坂井市の福井県児童科学館
ミッション報告会で、子どもたちの質問に笑顔で答える金井宣茂宇宙飛行士(中央)=12月9日、坂井市の福井県児童科学館

国際宇宙ステーション(ISS)に昨年12月から5カ月半にわたって滞在した、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井宣茂宇宙飛行士(42)のミッション報告会が9日、坂井市の県児童科学館で開かれた。金井さんは県内外の小中高生や保護者ら約500人に「宇宙ってそんなに遠くの話じゃない。宇宙を舞台に仕事をしたいと思ってくれたらうれしい」と呼び掛けた。

金井さんは、ISSでタンパク質の結晶を作る実験や、船外活動などに取り組んだことなどを分かりやすく説明した。ロボットアームの部品を交換した船外活動は「6時間休憩なしの作業だったので大変だった」と振り返った。

ミッション報告会は「ふくい宇宙博」(福井新聞社ゆめ つくる ふくいプロジェクト、県児童科学館主催、JAXA共催)の一環で開かれた。報告会の様子は敦賀市の「福井原子力センターあっとほうむ」でも生中継し、約70人が参加した。

VRソフトを使って、月面探査車の操作や月面都市の散策を体験する「ふくい宇宙博」の来場者=12月8日、坂井市の福井県児童科学館
VRソフトを使って、月面探査車の操作や月面都市の散策を体験する「ふくい宇宙博」の来場者=12月8日、坂井市の福井県児童科学館

■各ブースも盛況

坂井市の福井県児童科学館で12月8、9日に開かれた「ふくい宇宙博」(福井新聞社ゆめ つくる ふくいプロジェクト、県児童科学館主催)では、宇宙に関するさまざまな展示に注目が集まった。県内企業が部品を提供した月面探査車を紹介するブースでは、仮想現実(VR)ソフトを使って操作を疑似体験でき、来場した子どもたちは「月に行ってみたくなった」と将来の夢を膨らませていた。

月面探査車の模型は、民間による月面探査計画を進めるベンチャー企業「ispace(アイスペース)」(東京)が展示。同社は、民間初の月面探査を競う国際コンテストにチーム「HAKUTO(ハクト)」として参加するために探査車を製造した。実際の探査車は全長約60センチ、重さ4キロ。内部にはヤマウチマテックス(福井市)が製造したチタン合金のギアが使われており、軽量化に貢献した。

アイスペースが開発したVRソフトは、ゴーグルを装着して、月面にいるような雰囲気を味わいながら探査車の操作を体験できる。未来の月面都市を自由に動き回れるソフトもあり、子どもたちは「月から地球が見える」と興奮した様子で感想を話していた。

セーレン(福井市)は、ロケットに搭載する人工衛星などの機器を打ち上げ時の爆音から守る防音材を紹介。県や県内外の企業でつくる県民衛星技術研究組合は、2020年度上半期の打ち上げを目指す超小型人工衛星「県民衛星」の模型を展示した。奥島由樹子さん(高志中3年)は「福井の技術が結集していてすごい。県民衛星が打ち上げられて、世界にどんな影響を与えるか楽しみ」と話し、模型に見入っていた。

福井高専は、ペットボトルを投げてテーブルの上に立たせることができるロボットを実演したほか、科学技術高は生徒自作の電気自動車などを披露した。工作教室もあり、親子らが牛乳パックやアルミホイルを使った超小型人工衛星の模型作りを楽しんだ。

9日は、国際宇宙ステーション(ISS)に5カ月半滞在した、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金井宣茂宇宙飛行士によるミッション報告会が開かれる。

■若狭高生が開発した宇宙食サバ缶を絶賛

宇宙飛行士の金井宣茂さんが12月9日、宇宙食「サバ醤油(しょうゆ)味付け缶詰」を開発した福井県小浜市の若狭高校の生徒と面会した。試食で一缶をぺろりと平らげた金井さんは「地上で食べてもおいしいが、宇宙で日本の味が恋しくなった時に食べるにはぴったりの味。日本人宇宙飛行士の心的サポートになる」と太鼓判を押した。

金井さんはこの日開かれたミッション報告会に先立ち、若狭高海洋科学科の2年生3人、小坂康之教諭と坂井市の県児童科学館で対面。小浜市特産の若狭塗箸を使って試食した金井さんは「とてもおいしい。ご飯によく合う」と絶賛。生徒から「星いくつですか?」と問われると「5点満点の6点ですね」と笑顔で答えていた。

長期間の宇宙滞在で骨が弱くなる宇宙飛行士の栄養面を考慮し、サバは骨まで食べられるよう工夫されている。金井さんは「着眼点がすごくよくて先進的」と評価し、「栄養素のデータがあればさらによいのでは」と助言した。

サバ缶は、前身の小浜水産高時代から12年かけて開発。生徒約30人が携わり、今年11月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙日本食に認証された。生徒から味付けや粘度にこだわったという説明を聞くと「ドキュメンタリー番組にしてほしいですね」と話した。生徒の要望に応えサバ缶に書いたサインには、「Great Job(グレートジョブ=素晴らしい仕事)」の文字を添え、長年にわたる同校の宇宙食開発の取り組みをたたえた。

若狭高の西村喜代さんは「味や食感は食べてもらうまで不安だったが、おいしいと言ってもらえてよかった。今後も宇宙食の開発を頑張りたい」と話していた。

若狭高のサバ缶は国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士の食事として、早ければ2019年度に採用される可能性がある。

若狭高の生徒らが見守る中、宇宙食のサバの缶詰を試食する宇宙飛行士の金井さん(中央)=12月9日、坂井市の福井県児童科学館
若狭高の生徒らが見守る中、宇宙食のサバの缶詰を試食する宇宙飛行士の金井さん(中央)=12月9日、坂井市の福井県児童科学館