生み出そう! ふくい発 宇宙夢アイデア ファシリテーター保坂武文氏

ファシリテーター 保坂武文氏
ファシリテーター 保坂武文氏

福井県は未来の宇宙を見据えて教育や 産業、研究、製造など宇宙学術産業集積 地に向けてあゆみ始めています。

今年6月には福井で宇宙技術のシンポジウム ISTSが開催され、宇宙会議を盛り上げる一環としてふくい宇宙アイデアソン も開かれます。皆さんの宇宙での暮らしに役立つアイデアが、製品化されるかもしれません。

新しい創出アイデアには独創性や実現 性、地域性などが問われます。繊維や眼 鏡、食材などを活用し福井の特色を出して みてください。若狭高校の生徒がサバ缶の 宇宙食を作った先例には製品化に向けた大きなヒントがあります。ふくい宇宙アイデ アソンを通しアイデアをまとめるとともに、モノづくりのプロセスも勉強してください。

モノづくりとは「商品を通じて社会の人々の困り事 を解決し、人が見ていない夢を具現化した商品をお客様に提供する事」であると思っています。これは宇宙も一緒なはずです。

新たに生み出される商品は機能だけでなく、美しさを持ち、時代に旬でなければ 世の中に受け入れてもらえません。世の中のことも理解し、宇宙は生活の延長線上 にあるという視点で、宇宙飛行士が気付 かないところに皆さんの夢を入れ込んで提 案してください。

自分の限界を自分で決めたり、過去の 常識に縛られたりせずに、「枠にはまらず」皆さんの大きな夢に向かって一歩踏み出しましょう。

宇宙×衣食住の可能性を広げる JAXA職員が送るふくい宇宙アイデアソンへのヒント

河合佳祐氏(越前市出身) JAXA宇宙輸送技術部門鹿児島宇宙センター管理課
河合佳祐氏(越前市出身) JAXA宇宙輸送技術部門鹿児島宇宙センター管理課
私は福井県越前市の出身で、JAXAに入り この4月で3年目になります。種子島 宇宙センターに勤務し、事業所管理など事務系の仕事をしています。 宇宙について何かを考えていく際、「宇宙×○○」という考えで行動することが大切だと思います。宇宙とアートのコラボレーション、よりよいスポーツ中継やトレーニング解析に人工衛星 を活用するなど、宇宙を目的としてではなくアプリケーションとして活用していくことが求められます。 こうした考え方で、具体的に衣食住のテーマについて私なり に考えてみました。 まず「衣」では、スペースシャトル用に米国が開発した船外活 動用の宇宙服は10.5億円、生命維持装置だけで9.5億円する ので、どのようなアプローチでコストを下げるか。ロケットでの 輸送を鑑みれば軽くてかさばらないことが重要ですし、事務系的な視点からは宇宙飛行士の人権をいかに尊重するかにも関 心があります。広報担当者としては、ファッション性が高い方が メディアの反応も良さそうです。 食では、おいしくて保存期間が長いことに加え、ロケットの ものすごい振動などから、どのようなパッケージで食材を守る かも求められます。食中毒への法的対応など宇宙空間での決 まり事や、いろんな人種が集まるであろう空問において多文化 的な視点から考えることも面白いと思います。 住では、子どもや高齢者が宇宙で住むためには、という観点 はどうでしょう。湿度や広さに加え、温度にも大きく影響する 色をどうするかも、すごく大事な要素です。建築資材の輸送手 段も考えなければなりません。 皆さんも、考えられることをたくさん、そして真剣に考えてみてください。

宇宙ステーションでの生活に新しいビジネスを産むヒントは? ふくい宇宙アイデアソン

JAXA新事業促進部 事業推進課 原田正行氏
JAXA新事業促進部 事業推進課 原田正行氏
私は JAXAで20年以上にわたり国際宇宙 ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」や補 給機「こうのとり」の設計、開発に携わってきました。今は ISSのことをよく知る立場から、ビ ジネスとして宇宙産業へ進出したい方への講演などをしています。私からは ISS や宇宙の現状を紹介しますので、アイデアソンのヒントになればいいなと思います。 ISS は、地上から400kmの地球周回軌道 にあり、15 カ国の国際協力プロジェクトとして、常時6人の宇宙飛行士 が滞在し、無重力を利用した実験や、技術開発などをしています。 ISSの船内は地上と同じ服装で快適に生活できるように気圧や温度 が調整されています。しかし閉鎖空間であり、水が貴重で洗濯はできま せん。そのため使い切りシャツは少しでも長く着られるよう防菌防臭とし て、運ぶ量を減らしました。この臭わない下着は大きなビジネスになり、 消臭下着というカテゴリーが一般化しました。 食事では宇宙日本食があります。宇宙食には栄養面や衛生面、長期保 存など厳しい条件が求められます。これまでは米国またはロシア製が多 かったですが、新しい宇宙食が求められるようになり、羊かんやインスタン トラーメン、サバの缶詰などの宇宙食も作られました。こうした食品は JAXAが認証し、差別化できる商品としてビジネスになっています。 宇宙飛行士若田光一さんの宇宙での生活を見てみると、宇宙食は無重 カの中で置くことができず、体に貼り付けて運んでいます。ISS内の調理 器具はお湯のディスペンサーとフードウォーマーの二つしかなく、食べる時 にはスプーンとフォークを使います。サバの缶詰は飛び散らないようにと ろみが付けてあります。 宇宙飛行士は毎週土曜に掃除をしなければなりません。無重力では床 に埃がたまらず、空調のフィルターにたまります。これを掃除するのです が、掃除機のモーターが動くと(掃除機本体がくるくると)回転してしまう。 こういうことも何とかしないといけない。ハンドルやスイッチなどの拭き取 り掃除もあります。 さらに宇宙飛行士は地球に戻っても生活が続けられるよう、1日2時 間、トレーニングをしなければなりません。宇宙医学の研究では骨は地上 の10倍、筋肉は2倍の速さで減少すると言われています。また、宇宙放 射線は地上の半年分を一日で被爆します。その他にも閉鎖的な空間に国 や文化の違う6人が暮らしているので、さまざまなストレスや健康への影響があるようです。 これらは困りごとや課題のほんの一部です。ISS での生活を紹介したい ろんな動画もあるので、そちらもヒントになると思います。様々な情報を収 集してアイデアソンに取り組んでください。

移動式プラネタリウム、福井済生会病院で出張上映 入院中の子どもら満喫

「どこでもプラネタリウム」できれいな星空を眺める入院中の子どもたち=3月29日、福井市の福井県済生会病院
「どこでもプラネタリウム」できれいな星空を眺める入院中の子どもたち=3月29日、福井市の福井県済生会病院

福井県内大学生、福井高専生、高校生と福井新聞記者による「どこでもプラネタリウム(どこプラ)プロジェクト」(アストロアーツ、清川メッキ工業、鯖江精機、ナカテック、富士通福井支店特別協力)は3月29日、移動式プラネタリウムドームの初の出張上映会を福井市の県済生会病院で開いた。入院中の子どもたち約50人が、ドーム内に広がる星空に感激し、心躍るひとときを過ごした。

ドームは直径5メートル、高さ3・5メートルの布製で、一度に子ども約30人が入れる大きさ。宇宙や科学技術に携わる人材育成を目指す福井新聞社の「ゆめ つくる ふくいプロジェクト」の一環で、多くの人に宇宙に興味を持ってもらおうと約1年かけて製作した。

この日は、入院している小学生と保護者、お年寄りのほか、院内保育所の子どもたちが鑑賞した。空気を送り込んで膨らんだドームを見た子どもたちは「わあ、おっきい」と興奮した様子で中に入り、プロジェクターから投映された星空に見入った。

「どこプラ」メンバーの高志高1年の生徒2人がプラネタリウムの解説を担当した。おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲルなど冬に見える六つの1等星を線で結ぶと、六角形の「冬のダイヤモンド」になると紹介。子どもたちは「本当だ。ダイヤに見える」と目を輝かせていた。

25日から入院中の福井市内の小学1年生の男児は「星がきれいで楽しかった」と満足した様子。母親(45)は「ずっと(病院の)ベッドの上にいて気がめいっていたので、これを楽しみにしていたんですよ」と目を細めていた。

「どこプラ」は今後も県内での出張上映を予定している。

移動式プラネタリウム、0からのスタート 投映機やドーム1年かけ完成

最初に作ったビニール製のドーム。耐久性に不安があったため、素材を変更することにした=2018年6月
最初に作ったビニール製のドーム。耐久性に不安があったため、素材を変更することにした=2018年6月

「本当にできるかなあ」。「どこでもプラネタリウム(どこプラ)プロジェクト」は、ドームや星を映す投映機の製作について、まったくゼロからの状態でスタートした。メンバーは失敗のたびに原因を探って改善し、約1年掛けて何とかゴールにたどり着いた。

昨年3月に活動を開始したメンバーは、ドームの小さな模型を紙で作り、完成イメージを固めた。「何とか作れそう」という感触を得たが、実際はそう甘くなかった。試作品として作ったビニール製のドームは破れやすく、明るい場所で上映するには遮光性が低かった。事前の検討が足りなかったことを反省し、遮光性の高い布に変更した。ドームを形作るために布を縫い合わせる作業は、縫う箇所が膨大なため、最も時間が掛かった。

星を映す投映機は、2種類用意した。最初に作ったのは「ピンホール式」と呼ばれるもので、半球の容器に小さな穴をいくつも開け、容器内に設置した電球で照らす仕組みだ。容器はアクリル製にしたが、穴を開けるなどの加工が難しかったため、アルミ製に変えた。

もう一つは、プラネタリウムソフトで再現した星空をプロジェクターで投映する「デジタル式」。広範囲に投映するにはプロジェクターのレンズの前方に魚眼レンズを設置する必要があり、星空がはっきり映るレンズ間の距離の調整などに苦労した。

全ての作業が終わったのは、当初の想定より2カ月遅れの今年2月。メンバーは終盤、思うように進まない焦りを感じていたが、諦めずに力を合わせて課題を解決していった。何よりのご褒美となったのは、23日のお披露目会。美しい星空に歓声を上げる子どもたちの姿に、自然と笑みがこぼれていた。

スペースキッズ2期生、充実の1年 福井新聞のゆめ・つくる・ふくい

大型望遠鏡をのぞく児童=2018年8月3日、福井県大野市の県自然保護センター
大型望遠鏡をのぞく児童=2018年8月3日、福井県大野市の県自然保護センター

サイエンスショー、天体観測、ペットボトルロケット、プラネタリウム…。科学実験などを通して宇宙への興味を育む「スペースキッズ」の2期生100人は、2月23日の解団式で全日程を終えた。参加したメンバーは、スライドショーで充実の活動を振り返り、さらなる学びへ向け決意をにじませた。

昨年8月、福井県大野市で開かれた「星空キャンプ」に参加した越前市武生西小5年の女児は「天体観測で火星を初めて見てその迫力に驚いた」と懐かしそうに語り「今度は土星について、図書室で本を借りて調べてみたい」と意気込んだ。同11月のプログラミング教室が印象に残っているという福井大附属義務5年の女児は「今まで1回しかしたことがなかったけれど、スタッフに教えてもらえてうまくできた」と振り返った。

福井市湊小6年の男児は「これまでは星座の名前しか知らなかったけど、今ではオリオン座が見つけられるようになった」と自身の成長ぶりを実感。福井市木田小6年の男児は「将来は人類以外の生命体がいないかなどを調べてみたい」と話していた。

移動式プラネタリウム、試行錯誤の1年 ドームの素材選びから投映機の設計まで

プラネタリウムドームの前で記念撮影するスペースキッズと「どこプラ」メンバー=2月23日、福井新聞社・風の森ホール
プラネタリウムドームの前で記念撮影するスペースキッズと「どこプラ」メンバー=2月23日、福井新聞社・風の森ホール

「どこでもプラネタリウム(どこプラ)プロジェクト」がスタートして1年。福井県内の大学生や福井高専生、高校生のメンバーはドームの素材選びから縫製作業、投映機の設計・組み立てなど、試行錯誤を繰り返しながら何とかお披露目までこぎ着けた。ドーム内の満天の星空に歓声を上げる児童たちを見て「手作りは大変だったけれど、最後までやってよかった」「半端ない達成感です」と感慨ひとしおの様子だった。

「ここに映っている空は、皆さんが今いる風の森ホールから見える空です」。星空の解説をしたのは高志高1年の生徒2人。「人間と同じように星にも寿命があります。爆発は今夜かもしれませんよ」などと臨場感たっぷりに解説し、児童たちを喜ばせた。

投映機のソフトは、天文関連ソフトウエア開発のアストロアーツ(東京)から提供を受けた。特に流星群や月面着陸を再現する場面ではひときわ大きな歓声が上がった。解説を担当した生徒は「じっくり鑑賞してもらえるよう間を十分にとった。子どもたちの『きれい』というリアクションが最高だった」と手応えを感じていた。

直径5メートルのドームは、福井市セーレンプラネットで企画・交流サブマネジャーを務める亀谷光さんが考案した設計図を参考に製作した。遮光性の高いポリエステル製で暗室効果は抜群。映し出された星々は一つ一つがくっきりと見える。布を縫い合わせる作業は根気と精密さが必要だったが、福井文化服装学院(福井市)の協力で3カ月で仕上げた。縫製に携わった高志高の生徒は「A4用紙で小さな模型を作るところから始まったが、いろんな人のおかげで素晴らしいプラネタリウムができた」と笑顔を見せていた。

「福井の子どもたちに気軽に満天の星空を届けたい」。メンバーのそんな思いからスタートしたプロジェクトの活動は、今回のお披露目で一区切りとなる。学生のリーダーを務めた浅見祥宏さん(福井大3年)は「プラネタリウムについては素人の自分たちだったが、意見を出し合いながら満足いくものができた」と感慨深げ。「もっと多くの子どもたちに見てもらい、宇宙や星空への興味を持ってもらいたい」と話していた。

移動式プラネタリウムに子どもたち感動 福井新聞社でお披露目

最初に作ったビニール製のドーム。耐久性に不安があったため、素材を変更することにした=2018年6月
「どこでもプラネタリウム」で星空を楽しむスペースキッズ=23日、福井新聞社・風の森ホール
「どこでもプラネタリウム」で星空を楽しむスペースキッズ=2月23日、福井新聞社・風の森ホール

美しい星空、すぐそこに―。移動式のプラネタリウムドーム作りに県内大学生と福井高専生、高校生、福井新聞の記者が取り組んできた「どこでもプラネタリウム(どこプラ)プロジェクト」(アストロアーツ、清川メッキ工業、鯖江精機、ナカテック、富士通福井支店特別協力)は直径5メートルのドームを完成させ2月23日、福井新聞社・風の森ホールで披露した。招かれた県内の小学5、6年生約60人がドーム内に広がる星空に見入り、宇宙に思いをはせていた

ドームは子ども約30人が入れる大きさ。宇宙や科学技術に携わる人材育成を目指す福井新聞社の「ゆめ つくる ふくいプロジェクト」の一環で製作した。この日は、野外体験や科学実験などの活動を通じて子どもたちの宇宙への興味を育む「スペースキッズ」(福井信用金庫特別協賛)の解団式も併せて行われ、参加児童がプラネタリウムドームを体験した。

「わぁー、きれい」「知ってる星座だ」。ドーム内でプラネタリウムの上映が始まると、児童から歓声が上がった。どこプラのメンバーによる季節ごとの星空の解説に聴き入り、周囲に広がる美しい星空に夢中になっていた。坂井市長畝小5年の男児は「簡単に見ることができない流星群や、春夏秋冬全ての星空が昼間から見られてうれしい。ドームは扇風機一つで手軽に膨らませられるのも驚いた」と目を丸くしていた。

今後は県の協力を得てドームを運用する予定。県内の学校などに“出張”し、子どもたちにプラネタリウムを楽しんでもらう。

解団式では、天体観測したキャンプやプログラミング体験などの活動を映像で振り返った。スペースキッズのサポーターを務める宇宙飛行士の山崎直子さんは「自分の五感で感じたことは、大人になってからも心に残ると思います。スペースキッズの体験をきっかけに、いろいろなことに興味を抱いてください」とメッセージを寄せた。

プラネタリウムドーム縫製に強い味方 ミシン作業、福井文化服装学院が協力

「子どもたちにとって夢のあるプロジェクト。地元の専門学校として、ぜひお手伝いしたい」。プラネタリウムドーム縫製の協力を福井文化服装学院(福井市)にお願いしたところ、松原弘恵校長は快く応じてくれた。

プラネタリウムドームを製作する福井文化服装学院の学生ら=福井市の同学院
プラネタリウムドームを製作する福井文化服装学院の学生ら=福井市の同学院

作業は11月中旬にスタート。学生や教員ら7人が参加し、週2回のペースで1回1時間半活動した。同校OBで現在も繊維関連会社に勤めている後藤均さん(68)=越前町=が、工程の段取りや指導を担った。

ミシンを使って、高さ約4メートルの二等辺三角形状の布24枚をつなぐ作業は、作業が進むにつれて重くなるため、「かなりの重労働だった」(後藤さん)という。補強用の布も一緒に縫い合わせるため、1辺を3回縫うことになる。最終的には直線距離で約500メートルを縫い、糸は計2200メートル以上使用。根気のいる作業となったが、何とか1カ月半の短い期間で仕上げてもらった。今後、どこプラメンバーが行う縫製作業でも助言してもらうことになった。

参加した同学院1年生の竹内俊太郎さん(24)=坂井市=は「プラネタリウムを見た子どもたちが将来月に行ったり、宇宙飛行士を目指したりと、夢や希望を与える一つのアイテムになればうれしい」と笑顔で話していた。