真空対策、防水もOK 撮影機体実験着々と

実験を行う福井高専生

福井高専生5人と福井新聞の記者3人が挑戦中のスペースバルーンプロジェクト「ふーせん宇宙船」(鯖江精機、ナカテック特別協力)。カメラを搭載した箱形の機体を風船につるして打ち上げようという取り組みなのだが、成功に向けてクリアすべき新たな課題が見つかった。上空での「気圧」の問題だ。

計画では、風船は高度約3万メートルまで上がって破裂し、海に落下した機体を回収する。機体は安価で軽く、加工しやすい発泡スチロール製の箱。機体の外側にはカメラのレンズを露出させる穴を開けており、ここにわずかな隙間ができるが、樹脂で埋めて密閉した。隙間から外気が入り込んだり、海に落ちた後に海水が流入するのを防ぐためだ。

しかし、ここで懸念が生じた。気圧は高度が上がるほど低くなる。一方、密封された箱の中は気圧が低くならないため、外気と気圧差ができ、箱が内部からの圧力で壊れる可能性があるのではないか。

上空で箱が破裂―。そんな最悪の映像が頭に浮かんだ。ほかのメンバーに相談すると、福井高専4年の渡辺虎生太(こおた)さんが「その可能性もあるかも。実験して確かめてみましょう」と提案。早速、準備に取り掛かった。

高度3万メートルの宇宙撮影挑む

4月1日正午。福井新聞の記者ら3人と福井高専の学生5人が、緊張した表情で福井市両橋屋町の三里浜海岸に集まっていた。カメラを取り付けた風船を打ち上げ、高度3万メートル付近から宇宙や地球を撮影する「スペースバルーン」の初めての飛行実験に臨むためだ。実験では風船に丈夫なひもを付けて係留しながら約50メートルの高さまで飛ばし、うまく空撮できるか確かめる。風船にヘリウムガスを入れ、さあ準備OK。3、2、1、ゴー。一斉に手を放す。すると風船は―。

スペースバルーンに挑戦しよう」。昨年12月、福井新聞本社の会議室。社内プロジェクト「ゆめ つくる ふくい」を翌年4月にスタートさせるのを前に、今後の活動内容を話し合う会議でメンバーの一人から提案があった。「面白そうだね」。賛同の声が相次ぎ、プロジェクトの一つとして取り組むことになった。

「ゆめ つくる ふくい」は、県や県内企業が2019年度に打ち上げを目指す「県民衛星」の機運を盛り上げ、県民の宇宙への関心を広げようと始めたプロジェクト。スペースバルーンに取り組むのは、経済部と社会部の中堅記者、インターネットに詳しいデジタルラボの若手社員の計3人だ。

福井高専の4年生5人も活動に興味を持ち、メンバーに加わってくれた。成功させるには専門家の助言も必要だろう。スペースバルーンの国内第一人者、岩谷圭介さん(31)=福島県郡山市=が計画に理解を示し協力してくれることになった。岩谷さんに進め方を相談し、本番は今年11月、沖縄県の宮古島で打ち上げを目指すことに決めた。

「ふーせん宇宙船」に挑戦するメンバー

【福井高専】

 ▽渡辺虎生太さん 福井高専機械工学科4年

 学生のリーダーを務める。「何でもできる」と周囲の信頼は厚い。手先が器用で、工作好き。エレキギターを趣味とし、バンドにも情熱を注ぐ。

 ▽山本雄太さん 福井高専電子情報工学科4年

 飲み込みが早く、周囲から頼りにされる存在。学生会の活動にも携わる。何かとちょっかいを出してくる小山田さんを軽くあしらっている。

小山田瑞季さん 福井高専電気電子工学科4年

 幅広い分野に関心を持ち、メンバーが行き詰まると鋭い指摘で導く。やんちゃな一面もあるが、根は素直。釣り、カメラ、読書などが趣味。

中野拓朗さん 福井高専電気電子工学科4年

 穏やかな性格で、よく笑う。あだ名は「てくろー」。漫画好きで、「進撃の巨人」の話題になると熱く語り出す。ファッションにこだわりを持つ。

廣野晴夏さん 福井高専機械工学科4年

 唯一の女性メンバー。柔軟な視点でアイデアを出す。普段は癒やし系としてみんなを和ませている。ロックバンド「モノブライト」が好き。

【福井新聞社】

吉川良治記者 福井新聞経済部

 チーム全体のリーダーを務める最年長者。唯一の文系出身で、理科や数学は苦手。県民衛星に触れ、「科学系のニュースを意識して見るようになった」。

嶋本祥之記者 福井新聞社会部

 普段は司法を担当。科学や気象への興味から、13年に気象予報士の資格を取得した。子ども向けの実験教室を開催し、科学の楽しさを広める活動にも励む。

橋本淳樹記者 福井新聞デジタルラボ

 ホームページ更新などの業務を担当。最先端の技術が大好き。タブレットPCが発売されると、購入して触りたくなる衝動を抑えられない。曲作りが趣味。